電波時計の標準電波、聞こえるか? JJY
ふと「電波時計はどんな信号で時刻合わせをするのか?」と興味を持って、気楽に受信できると思って泥沼にはまった。
昔、JJY標準電波はHF帯の解りやすい周波数で送信されていた。しかしいつからか、それが無くなって、40kHz
と60kHz という冗談のような低い周波数に変わって、ハムにとっては使いようのない?電波になってしまった。一方電波時計というとても便利な時計が開発され、腕時計にもなっている。
先にGPS受信機で周波数あわせをするという記事を書いたが、今回はこの40kHz 標準電波受信に取り組んだ標準信号受信シリーズの顛末。
手元のリグでも30kHzから受信が出来るので、どんな電波か聞いてみようと周波数を合わせても、何も聞こえない。何かのノイズのようなビートはたくさん聞こえる。数千円の時計が受信できるのに、なぜ無線機では受信できないの・・? 悔しいなぁ・・・ いつものあきらめの悪さが災いする。
というわけでインターネットで調べてみると、いろいろ出てきた。どうも簡単には受信できそうも無い。
先ずはアンテナ。こんな低い周波数ではごく自然にフェライトバーアンテナが必要になる。ジャンク箱に有ったフェライトバーにあり合わせの単線(0.26テフロン線)を適当に密巻きにした。およそ数ミリヘンリーになっているはずというところで、コンデンサを抱かせて、40kHz に共振させる。この共振の確認にも周波数が低すぎて、手がかかる。
手元のアンテナアナライザは数MHz~で使い物にならず、DDS発振器を無理矢理40kHz で動かして、このフェライトバー共振器に20ターン位の空心コイルと(発振器の出力が適当になるよう)抵抗で結合させて、両端をオシロで眺めるという原始的な方法で振幅最大で共振のはずというわけ。
当たり前だがけっこうクリティカルで、バリコンが欲しい位だが、カットアンドトライを繰り返して何とか合わせこんだ。
乱暴とは思ったが、そのままリグのアンテナ端子につないでみたが、これもあえなく敗退。聞こえない。インピーダンスマッチングが必要かと、これも適当に、先に巻いたコイルの上に、数十ターンの結合コイルを巻くが、これでもダメ。受信できない。いろいろやって、CW受信のナロー化も極限まで(50Hz)までやってみたがこれもダメ。
いろいろ調べると、時計の受信機は超狭帯域(水晶フィルターを使用)になっていて、さらにアンプの増幅率もかなりらしい。
ネットの記事では1石のアンプを入れる事例が多くあるが、ゲイン不足のような気がする・・・? ならば周波数も低い事だし、オペアンプで自由に増幅させちまえということで、4580のデュアルアンプで豪華に・・・エイヤッと20+30dBアンプ(300倍)を構成。
近傍(39.3kHz) にえらく元気のよいビートがいる。メインリグ用の電源のスイッチングノイズと判明。とりあえずはリグのフィルターで逃げられそうだ。50dBのアンプにはこのスイッチングノイズは悪さをしそうな気もするが、不具合おきてからにしましょう。アンプの外観写真、シールドは銅テープでぐるぐる巻き。
で、聞こえました!30分ごとの「JJY」モールスもきちんと聞こえた。帯域さえ狭くすれば、Sメーターも振れる。写真はリグのスペクトル表示、スイッチング電源を入れると39kHz あたりに一山現れる。
それだけの事・・・だが、楽しめた。
jjy.jp に信号フォーマットが記述されている。
http://jjy.jp/jjy/trans/timecode1.html
下図は「2004年92日(4月1日)17時25分木曜日、1ヶ月以内にうるう秒無し」 の例。
キャリヤの送信時間を変えて、「0」「1」とタイミングを示している。信号の立ち上がりが正「0」秒で、これに同期させれば、秒針はきちんと合うわけ。あとはデーターを解析する。ここまで解って、信号を聞いて、納得。
赤: マーカー(M)及びポジションマーカー(P0~P5) パルス幅 0.2s ±5ms
緑: 2進の0 パルス幅 0.8s ±5ms
黄: 2進の1 パルス幅 0.5s ±5ms
今回製作したアンプの出力に別のアンテナをつなぐとJJYレピーターになりそうだ。拙宅は木造なので、大体どこでも受信できるので、不要。
それにしても、リグの電源以外にも、換気扇スピードコントロールやら、照明器具、その他ノイズ発生源がたくさん有る事をあらためて見せつけられた。
そうした環境でも動く電波時計の受信機は、よくできている。けっこうアンテナの指向性は強くて、置き方により時刻合わせが出来ない事も起きる。リグ用のスイッチング電源のノイズ(39.3kHz)の影響があるかとテストしてみた。時計のアンテナ指向性をきちんとJJY到来方向に向ければ、電源の近くにおいても時刻合わせが出来る。優れもの!
これで、今回のJJY、さきのGPSと、時刻、周波数の標準を少し理解できた。
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