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アマチュア無線・JT65モードにはまっている

今年のCQ誌を整理していて、連載記事が目にとまり、何だこれ?と1月号(連載1回)から見直し始めたのが興味を持ったきっかけ。なんだかブーム?らしい。というわけでにわか勉強とQSOの成果。 

元は月面反射通信に使っていたデータ通信の一種で、それをHF通信に適合しやすく少しモディファイしたものらしい。小生は以前無線の仕事をしたこともあり、狭帯域で超低速データ伝送で、上手に方式設計をすれば微弱電波でもかなり飛ぶ、ということは承知してたが、ここまで徹底して設計された方式が,ハムの世界で動いているのは驚き。

 超狭帯域:175Hz(送信占有帯域)、超低速データ:2.7ボー、で65値のFSK変調と、強力な符号変換と自動誤り訂正(リードソロモン)の組み合わせ。使用帯域幅(送信ではなくシステムとして)2.7kHzの幅のノイズとの比で、なんとS/Nが「マイナス26dB(耳では聞こえない)ところまで受信可能と。

すべてパソコンソフトのお世話になる。パソコンと無線機はスピーカとマイクライン、当方はUSBオーディオと、USBPTTでつなぐだけ。簡単そうだが、リグでの信号ひずみやS/N劣化は極度に嫌うようだ。オーディオの設定や、マイク入力ゲイン、ALCの確認などは神経を使うべし。 受信、送信でオーディオのダイナミックレンジも大切のようだ。

 QSOの形態も特殊で、CQ, コール、シグナルレポート交換、確認と73だけの定型QSO。もちろん多少のモディファイが出来る、フリーの1電文は13キャラクタ以内。 他のモードでJCCサービスやDXペディションなどはもっと端折っているので、丁寧だ。なおシグナルレポートはS/Nがソフトで計算され、それを自動で送る。だから何でもかんでも599ではなく技術的にシッカリした数値?が交換される。 周波数は国際的に決められている。その周波数を基準に約2kHzの幅の中で175Hz 幅を占有。送受信は国際標準時のX0秒ごとに同期して行い、約45秒送信、アイドリング、次のX+1分0秒で相手が送る。パソコンの時計をインターネットで合わせておく必要がある。

Jt65_timechart


 上の図がシンプルなQSOの例。CQ出して、呼ばれて(それぞれにQTHがグリッドロケ-タで入る:DX向き)シグナルレポート-9dB、了解そちらは-10dB、了解7373 まっとうなやりとりです。(Rは了解) フリー電文以外はすべてにコールサインが入る。これに追加で、13字のフリー電文が送れます。たとえば「TU JCC1305 73」とかがポピュラー。受信ソフト画面では詳細な周波数が表示されるので、他の局と混同することはまずない。図のパソコン画面がフリーソフトの表示例。青の帯が自局の送信、赤の帯が相手の信号です。これは南アとのQSOのコピー。うっとうしければ他局の更新の状況表示を消したり、色を変えたりも出来る。

Jt65hf


こうした決まり事に支えられて、ひどいS/NでのQSOが実現する。マナーとしては、最低限の送信電力を心がけるということで、最大でも30Wといわれている。一般的に10W程度の模様。もらうシグナルレポートが良いことは「恥」、それはパワー出し過ぎという空気(文化?)があるらしい。 

せっかちには向いていない。まっとうに交信が一つ終わるまでに最短で5分かかる仕掛けになっていて、応答がとれなくて再送すればすぐ2分延長だ。 のーんびり、お茶を飲みながらマウス操作だけで、DXが楽しめる。まだマナー違反には遭遇していないが、のんびりなせいか、比較的にマナーが良いようだ。どこにでもわがままな局はいるものだが・・・ 他の交信局がきちんと"73"を交換するまで待つことが出来ないようでは、どのモードでも失格?。

ここ数日これにはまっている。 無謀?にも5W14MHzCQを出したりして、LU8(アルゼンチン)からコールされてびっくり!! QSO出来た。すごい!5Wで地球の裏側と交信できた! たて続けにLU数局と、続いてW の何局かとも交信出来た。RTTYモードだと100W以上 欲しいところだが、全く問題無かった。もちろんコンディションも良かったのだろうが、面白いモードだ。やみつきになりそう。

スモールループや、ホイップなどで数ワットで運用されている方も多い。このモードのQRPは1W 以下ということになっている?らしい。0.5W でけっこうできるようだから。アパマンハムのDX実現の道でもあり、インターフェア防止の運用にも威力がある。

オマケに、パソコンがインターネットに繫がっていて、それなりの設定をすると、クラスターに受信局の情報が自動的にポストされる。逆用すれば、自分の信号がどこで受信できているかが過去24時間にわたってチェックできる。そんなサイトもある。パソコンと無線機を勝手に走らせておけば、自動受信し自動ポスティングだ。図がその画面。条件(自局のコールサインなど)を入れると、何分前(何時間前)に受信できたという吹き出しが表示され、クリックすると信号強度などの情報が表示される。長丸吹き出しは当局の信号受信だけを表示させたもの。北米と南アに届いていることが解る。

Jt65_map

これは受信局が、無線機を操作(周波数をチューニング)せずにバンド内の局を認識できるから、可能になる。CWでもCWSkimmerという並列CWデコードソフトとソフトラジオ(ワイド受信)による広帯域受信の組み合わせで出来ている。これに似た感じだ。

世の中便利になっているが・・・これで良いのか、ふと気になることもある。

もちろんログはパソコン頼りで、交信直後にJT65の制御ソフトでログの記録操作をすると、eQSLという電子QSLシステムサイトに自動的にログがアップロードされる。電子QSL交換が自動的に出来、同時にHamlogソフトとのリンク、転送も自動的に出来る。 QSOが終了した時点で、eQSLにアップする局も多くて、交信直後に数分で電子ファイルカード交換完了になってしまう。最近ではeQSLでもアワードに使えることも多くなった。あまりアワードには興味が無いが、手がかからないのなら、申請しても良いかなと思うようにもなった。相手の方へのサービスと考えれば大切なことだろう。

 今回のこのモードはあくまでも電波での直接交信であり、レピーターやネットが介在しない。ネットが介在するのはサポート部分(ログやクラスターなど)だけなので、小生には受け入れやすい。ネットでつないだりや、リピータの交信はどうも好きになれない。今ではケータイでそれがシッカリできるので、やはり古典的な電波直接通信が良い。5Wで世界中と交信できるようになる・・・。 

こうしたこと全体が、従来の(私のような歳をとった)ハムの行動習慣からすると若干のカルチャーショックだ。少なくとも私には・・・ へぇ~~、だった。

 

【後日談】 20170530
このモードを始めてちょうど一年経過した。成果はJT65だけで1,252 QSO (3.5~50MHz)で95エンティティ、コンファーム(電子を含む) 87エンティティ。今までの懸案のMixでは簡単に100を超えて125コンファームに達した。切手代もかかることが少ない。
DXをやるには体力消耗せず、ストレスもなくできる。今のような悪いコンディションでも、もう少しでこのモードで100エンティティ。このモードのおかげで、WPX prefix もデジタルで500(Mix600)を達成してしまった。
期待としては、もっとペディションでのJT65サービスが増えることと、電子QSL(eQSL/Lotwなど)ユーザーの増加
なのかな・・・


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コメント

コメントありがとうございました。 ほとんどのHFバンドでJT65で出ています。とは言ってもコンディションが今ひとつですが。 この1年で千数百QSOをしました。JT65だけで95エンティティ、80コンファームです。DXやるには効率が良いモードです。

投稿: 鈴鹿 和男 | 2017年5月26日 (金) 19:58

今まで、数多くのJT65のページを見てきましたが、本ページは詳細に
ついて分かりやすく説明してありますので、大変参考になりました。
今まで疑問に思っていた事も解決できました。

投稿: 熊門 太郎 | 2017年5月25日 (木) 19:37

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